静修陸上部の夏は、個々の走力アップを図るトラックシーズンから、秋から冬の駅伝シーズンに備え、スピードに加えて持久力をつける練習メニューに徐々に切り替えていく時期にあたる。長年、陸上部顧問として指導にあたる吉田茂教諭の下、木々に囲まれているとはいえ、強烈な西日に照らされ30度を超える円山陸上競技場で真摯に練習に励む陸上部を訪ねた。
北海道の陸上のメッカといえば円山陸上競技場。公式競技大会や市民大会が行われるほか、日によっては個人にも開放される。小・中学生から高校生まで、色とりどりのユニフォームの花が咲く中を静修陸上部は軽快にアップの集団走をこなす。一汗かいたところで、吉田教諭は、部員一人ひとりときめ細かくコミュニケーションを取りながら体調を見極め、今日の練習メニューを告げる。「コンディションはその日その日で違います。選手は体の調子が思わしくなくても気持ちが優先し1秒でも早く走りたくて、ついつい無理をする。それがケガや長期の不調につながる。体と心をどうコントロールさせるかが、私の仕事です」と語る。部員たちは指示に従ってトラックに散り、全国インターハイへの切符を手にした部員は本州・山梨の猛暑を想定した練習、他は1000m・5本のインターバールトレーニング、故障明けの部員は軽めに、とそれぞれのメニューに取り組む。走りを観察しながら、吉田教諭から鋭く、的確なアドバイスが大きな声で飛ぶ。「昔はスパルタだったかもしれません。今は自主性を重んじています。フォームもでき得る限りいじらず、個性を尊重したい。やるときはやる生徒たちですから、細かいことをあまり注意することはありません」と吉田教諭は笑う。
部長の塩崎さんは、「この夏の目標は、徹底した走り込みと体調維持を含むウェイトコントロール。練習は裏切らないですから…。自分たちをいつも気にかけてくれる吉田先生に満足してもらえる走りができるよう、部長としてみんなを引っ張っていきたい」と意気込みを語る。
あと2ヶ月あまりで、北海道高等学校駅伝競走大会(10月25日、北斗市)が行われる。日々の練習に万全のコンディションで挑むことで、走りの質を高め都大路につなげてほしい。